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知っておきたいEU法の基礎

掲載日:2026年9月17日

EU(欧州連合)では、製品の安全性、環境、化学物質、エネルギー効率など、さまざまな分野で製品に関するルールが定められています。

EU向けに製品を輸出するメーカーにとって重要なのは、単に「EUの規格を調べる」だけではありません。その製品にどのEU法が適用され、メーカーにどのような義務があるのかを確認することが、EU市場に製品を投入するための第一歩です。

ここでは、EU法の基本的な仕組みと、製品規制を調査する際に特に重要な「規則(Regulation)」と「指令(Directive)」の違いにフォーカスをあて解説いたします。


1.EU法とは?

EU法は、EU加盟国が共通のルールに基づいて活動するための法体系です。EUの基本条約によって、加盟国がEUに権限を委ねた分野では、EUがルールを制定することができます。そのためEU法は、一般的な国際法とも、各加盟国の国内法とも異なる、EU独自の法体系となっています。したがって、EUで販売する製品については、各国の法律を個別に調べる前に、まずEUレベルの規制を確認するという考えが基本になります。ただし、EU法のすべてが加盟国で同じように適用されるわけではありません。EU法にはいくつかの種類があり、それぞれメーカーへの影響が異なります。

2.EU法の種類

EU法は、一次法(Primary Legislation)、二次法(Secondary Legislation)、判例(Case-Law)の3つのカテゴリーに分けることができます。


(1)EUの「一次法」(基本条約)

一次法とは、EUの基本的なルールを定める「基本条約」です。

代表的なのは、欧州連合条約(TEU)、欧州連合の機能に関する条約(TFEU)、EU基本権憲章などがあります。EUがどの分野で権限を持つのか、EUの機関がどのように活動するのか、といったEU法の土台となる事項を定めています。

メーカーが個々の製品規制を調査するときに、一次法そのものを詳しく確認するケースは多くありません。実務上、より重要になってくるのが次に説明する「二次法」です。


(2)EUの「二次法」

基本条約に基づいてEUの機関が制定する法律を、一般に二次法(Secondary Legislation)と呼びます。以下の5種類があります。


①規則(Regulation)
加盟国で直接適用される法律です。そのため、EU規則は、加盟国が別途国内法に置き換えなくても、原則としてそのまま加盟国で適用されます。加盟国の政府等に対して直接的な法的拘束力を及ぼします。

例)バッテリー規則2023/1542


②指令(Directive)
加盟国に対して実施期限内に、達成すべき結果を要求する法律です。指令が採択されると、各加盟国は、国内法等の措置を取ることが求められます。ただし、具体的な実施方法については加盟国に一定の裁量があります。指令が規則に移行することもあります。

例)機械指令2006/42が機械規則2023/1230へ移行しました。


③決定(Decision)
特定の加盟国の政府や企業、個人に対して直接適用されるもので、その対象となる者に対して直接的な法的拘束力があります。特定の加盟国、企業、個人などを対象にすることがあります。


④勧告(Recommendation)
加盟国の政府や企業、個人などに一定の行為、措置を取ることを期待する旨、欧州委員会が表明するものです。原則、法的拘束力はありません。


⑤意見(Opinion)
特定のテーマについて欧州委員会、欧州理事会、欧州議会等の意思を表明するものです。原則、法的拘束力はありません。


種類日本語法的拘束力誰に
対して?
適用方法
Regulation規則あり一般的にEU全体直接適用
Directive指令あり主に加盟国国内法に置き換える
Decision決定あり特定の加盟国、企業など
Recommendation勧告なし加盟国など
Opinion意見なし
加盟国、機関など


(3)規則(Regulation)と指令(Directive)の違い

下図は、上記をふまえ、メーカーにとって重要な「規則」(Regulation)と「指令」(Directive)の違いについて整理したものです。

簡単に言えば、
 規則 = EUで直接適用されるルール
 指令 = EUが定めた目標を、各加盟国が国内法に反映する仕組み
と考えると分かりやすいかもしれません。

(イメージ図)




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