概要
New Energy Vehicleの略。中国語で新能源車。日本語訳で新エネルギー車、略して新エネ車。
大気汚染が深刻な中国では、有害物質排出量が少ないクリーンな車の普及に力を入れています。北京、上海などの主要都市では、従来型のエンジン駆動車を買って登録するには、当選確率は800分の1(北京市の場合)という狭き門を通り抜けてナンバープレートを獲得しなければなりません。市街中心部への進入禁止措置やナンバー末尾による走行規制も珍しくありません。排出ガス規制に適合しない中古車などは転売が困難なばかりか、廃車を強要されるケースもあります。
また、中国政府は、日米欧の大手メーカーより競争力のある自動車メーカーを育成するという野心を隠していません。その目標達成のために選んだのが、低公害・高燃費のガソリンエンジン車ではなく、NEV(新エネ車)なのです。
つまり、NEV(新エネ車)は、国民が強く求めている青い空を取り戻し、世界一の自動車大国になるという、中国政府にとって極めて重要な目標の中核的ピースなのです。
そのため、中国政府は次々に様々な取り組みを進めています。
- 新エネ車購入補助金……国だけでなく、省や市の政府からも給付されます
- 新エネ車に対する優遇……ナンバープレートの交付制限や走行規制も免除されます
- 充電インフラ整備……中国の充実度は自他共に認める世界一です
“アフターコロナ時代”の中国新エネ車動向
中国で言う新エネ車に対する優遇措置については、新型コロナウイルスの感染拡大を経て、混沌としています。
従来、国有企業製の車両や地元に工場を持つ合弁メーカーのEVは新エネ車(優遇対象)だが、そうでないのは新エネ車でない(優遇しない)、といった明白な地元贔屓が横行していたため、その定義は(北京と上海と天津で異なるといった具合に)まちまちでした。
実は、こうした地元贔屓は昨年になって中央政府から禁止通達がなされ、いったん影を潜めていました。米国との貿易戦争において格好の批判対象となるからかもしれません。
しかし、中国では、今、状況は再び変わりつつあります。
- 2025年まで……標準供給を政府主導から政府と市場の両方を重んじる方向に転換、標準運用の場を産業と貿易だけでなく経済社会全体に拡大、標準化業務を国内だけでなく国際社会における相互促進に拡大、など
- 2035年まで……標準体系の枠組みの一層の合理化や国際的な互換性の強化、など
すでに、以下に示すように、国としての(規制の先送りなどを含む)助成振興策に加え、先駆的な地方政府による独自の助成策も打ち出され始めています。
- 国務院常務会議、新エネ車購入補助金の2年延長などを決定
- 生態環境部など4部門による公告[2020] 28号 軽型自動車に対する国6排出ガス規制の実施の調整について発表
- 発改産業[2020] 684号 発改委など11部門、国6排出ガス規制実施延期など自動車関連政策を通達
- 上海市発改委、記者会見で市独自の自動車消費促進策の詳細について言及
- 津政弁規[2020] 8号 天津市政府、同市における自動車消費促進策を通達
- 広東省広州市工信局、「広州市における自動車の生産と消費の促進措置」に対する解説情報を公開
- 広東省財政庁、農村部における自動車と家電の普及に17.8億元を計上
- 海南省、新エネ車購入に1億5000万元分の補助金を計上
- 河南省鄭州市、自動車向け商品券は1台あたり5000元
※上記は、いずれも、中国国内の政府機関や報道機関による公開情報に基づいて、 「中国法規情報収集支援 サービス GB NAVI IP 」で公開した情報の中からの抜粋です。
全人代代表8人による新エネ車に関する提案の紹介
全人代に代表として出席した、自動車業界を代表する経営者たちが全人代に提出した提案(要望)のまとめ情報をご紹介します。
自動車メーカー董事長ら全人代代表8人が両会に提出した新エネ車関連の内容を、儲能頭条が報じている。
- 吉利控股集団董事長……自動車消費税徴収を生産過程から販売過程へと変更し、地方との共同税とすべき。企業の技術革新や製品の研究開発に資金を投入しやすくし、地方税収入の一定額を都市のインフラ整備や消費環境改善に充てることができる
- 小康汽車董事長……新エネ車の車両購入税免除を2025年まで延長すべき
- 長城汽車CEO……新エネ車購入補助金制度設計の考え方を小型EV優遇へ抜本的に転換すべき
- 奇瑞汽車董事長……価値の高い新エネ車部品の再製造(リビルド)を、国の戦略的新興産業に組み入れるべき。航続距離の短い新エネ車の回収を自動車メーカーに許可し、改修後、再び新車として販売できるようにするべき。アルミ合金などのボディ、駆動用バッテリー、モーターなどを回収できるようにし、再製造対象に組み入れるべき
- 上海社科院副院長……充電設備の運営効率と利益能力を高めるため、ハイパワー充電設備の整備、統一標準の制定などに注力すべき
- 寧徳時代(CATL)……エネルギー貯蔵を国家エネルギー成長計画に組み入れ、エネルギー貯蔵の法規整備、価格決定の仕組み構築などに注力すべき
- 広汽集団董事長……補助金を重要部品(駆動用バッテリー、モーター、充電設備など)を扱う企業に優先的に回すべき。コネクテッドカーや自動運転の技術革新に注力すべき。MaaS事業の新ビジネスモデルを模索。他業界との協力を奨励し、資本投資を推進すべき
- 海馬集団董事長……PHVをEVと同様に優遇すべき
※上記は、いずれも、中国国内の政府機関や報道機関による公開情報に基づいて、 「中国法規情報収集支援サービス GB NAVI IP 」で公開した情報の中からの抜粋です。
(ご参考)直近の動向
以下は、「中国法規情報収集支援サービス GB NAVI IP 」での情報公開イメージです。
① 2024年度のダブルクレジットの見込み値の報告を要請(2023年12月20日公開)

②CATARC、「新エネ車白書」(2023年版)を発表(2023年9月4日公開)
