概要
2015年3月15日、国務院は、各省、自治区、直轄市人民政府および各部、委員会、直属機関宛に対し、「国発[2015] 13号 国務院、標準化活動改革の推進計画を通知」を通知しています。
その要点をまとめると……
●標準規格の再分類:国家が定めるもの……強制国家標準、推奨国家標準、推奨業界標準、推奨地方標準の4種類と、市場によって自主的に制定されるもの……団体標準と企業標準の2種類とする。政府が主導的に制定する標準は基本的なものに重きを置き、市場によって自主的に制定される標準は競争力向上を旨とする。
●強制標準の整理・統合・簡素化:現行の3種の強制標準(強制国家標準、強制業界標準、強制地方標準)を、強制国家標準のみに統合。強制国家標準の対象は、健康と財産の安全、国家安全、生態環境保護、社会経済管理などに限定
●推奨標準の在り方の再定義:国家、業界、地方の守備範囲を合理的に明確化し、改正手順の簡素化、審査効率の向上、制定改正周期の短縮を進める
●団体標準の制定:業界団体が市場全体の競争力向上のために標準規格を作成することを推奨する。制定・発表に行政は関与せず、国務院標準化主管部門などが指針の制定を通じて監督
●企業標準の活性化:製品競争力の向上を目的に、企業が自主的に制定する標準。国家、業界、地方標準より高い基準であることが求められる。発表は自己宣言公開の形式を執り、公開された標準は標準化専門機関の評価を得ることを推奨。企業標準の品質を監督し、その活用を励行することで、製品・サービスの品質を社会的に監督する
これらの内容をタイムラインを設定して、国務院が陣頭に立って、実施するとしています。
通達のアウトライン
ここでは、以下の4つの項目からなる本通知の抄訳を掲載しています。
①改革の必要性および緊急性の説明
②改革が求める包括的なポイント
③改革に向けた取り組み
④改革のステージ毎に向けた取り組み
①改革の必要性および緊急性
・経済成長に伴う新たな時代のニーズに合わせるため(現代農業やサービス業の標準が少ない。
社会管理や公共サービス分野は始まったばかり。比較的標準が整っている工業分野でも省エネなどで
更なる標準完備が必要)
・標準の重複や矛盾をなくし統一的な管理を確立するため
・社会主義市場経済の発展に合わせた合理的な標準体系確立のため(他国と異なり中国では団体標準に
法律的位置づけがない、企業標準も政府への登録や審査が必要なために新しい物を生み出す力や
競争力に欠けるなど)
・標準化のための協力推進メカニズムが確立されておらず、効率的な標準化管理の妨げとなっているため
上記4つの問題点の根本原因は、現行の標準体系および標準化管理体制が1980年代に確立されたもの
であること。
②改革の全体的な要求
基本原則1 政府機構簡素化と権限移譲(団体標準の育成、企業標準の活性化など)
基本原則2 国際的なスタンダードに合わせつつ国情に即した標準体系および標準化管理体制とする。
基本原則3 国務院標準化主管部門による統一的管理を進めつつ、各部門で責任を分担
基本原則4 法に則った行政や推進を行う(法律の改正など)
③改革のための取り組み
政府が主導的に制定する標準を従来の6類から4類に調整。即ち、強制国家標準、推奨国家標準、推奨業界標準、推奨地方標準の4類とし、市場によって自主的に制定される標準を、団体標準と企業標準とする。
政府が主導的に制定する標準は基本的なものに重きを置き、市場によって自主的に制定される標準は競争力向上を旨とする。
・効率的で権威ある標準化統一協調機関を設立
(国務院と関連部門による標準化協調推進機関)
・強制標準の整合と簡素化
(現行の強制国家標準、強制業界標準、強制地方標準を、強制国家標準に統合。強制国家標準は、
健康と財産の安全、国家安全、生態環境保護、社会経済管理などの基本的な範囲に絞る)
・推奨標準の最適化
(国家、業界、地方の推奨標準の合理的な線引きや制定範囲を定める。改正手順の簡素化、審査効率
の向上、制定改正周期の短縮など)
・団体標準の育成
(市場原理を重んじ、団体標準に行政許可を設定しない。団体が自主的に制定、発表するに任せ、
優れないモノは市場原理によって淘汰される。国務院標準化主管部門と国務院の関連部門が、
団体標準の発展に関する指針などを制定することで監督する)
・企業標準の活性化
(企業が必要に応じて制定。国家、業界、地方標準より高い基準の企業標準を奨励。企業による製品
およびサービス標準自己宣言公開およびその監督制度を構築。公開された企業標準を標準化専門機関
が比較・評価することを奨励。それによって社会による監督を強化)
・国際的な見地における標準水準の向上
(団体や企業による国際標準への参加を奨励。国際的発言力の強化)
④標準化活動の組織
第一段階(2015-16)、第二段階(2017-18)、第三段階(2019-20)に分け、計画の概要と担当部門などが記されている
(例:国家標準法の改訂、2016年6月末まで。団体標準試行と団体標準発展指針制定など、2015年12月まで。企業による製品およびサービス標準自己宣言公開およびその監督制度の試行、2015年12月まで。団体標準の評価および監督システム構築、2017年まで)